薬疹(疑):降圧剤が原因?

薬疹(疑)老人性湿疹:76歳 男性

カイジによる薬疹治療効果

画像をクリックすると拡大

 漆芸専門家。長年に渡り、降圧剤服用してきた(血圧は正常範囲内で問題ないとのこと)。この3ヶ月ほど体表に湿疹を生じ、痒みが強く、現在は全身にひろがり、特に上半身が強く、日常の仕事はもちろん、あらゆる動作に支障をきたすほどとなる。降圧剤以外服用せず、他にアトピー性の原因物質は見当たらない。

家族歴:大腸癌頻発家系、親・妹:大腸癌にて逝去。

既往歴:アトピー性疾患、アレルギー、その他免疫異常なし。高血圧治療のみ。

全身性に粟粒性湿疹を認める。痒みの自覚強い。着衣の触れる皮膚部分は特に強く、寝ているうちに掻くため、出血部分を認める。血液検査で肝臓機能等に異常なし。湿疹部分が全身に至るため、軟膏等は出血部分とかゆみの強い部分のみとして、カイジ3g/日の服用開始。

開始直後より痒み、日常動作によって増強される不具合が減ったと自覚、発汗や利尿作用あり。3週間にて下半身より湿疹の軽快・消失を認める。症状、痒みの軽減に従い、減退した食欲も戻り、3ヶ月にて一切の瘢痕を残さず完治。降圧剤の投与はカイジ服用中も変わらず継続、その他日常に変化なく過ごした。

結果的に、湿疹の原因未詳、湿疹以外特に検出された異常なし。職業で扱う漆の質の変化(昨今は中国産を輸入して使用する)を考慮するも、長期に渡る使用で急に感作された可能性は少ないと考える。

総括:疾病としては生命に関わるほどのものではないが、全身性湿疹は日常のQOL(生活の質)を著しく下げるものである。カイジ3g服用という最小限量の投与で瘢痕も残さず、日常に影響も与えず、日々体調が向上する自覚とともに完治したことは、患者にとって大変僥倖と言える。その後再発なし、何ら追加した問題なし。