大腸癌:またもや8年後の再発

大腸癌骨盤・仙骨転移:68歳 男性

現病歴:平成24年、医療相談より1年前くらいより坐骨神経痛にて、整形外科を受診。最近、痛みが増強したため、近医受診し、検査クリニックを紹介され、MRIおよびCT検査により、骨盤に異常所見とL4のヘルニアを指摘され、平成25年11月に医療相談を受ける。

既往歴:8年前に直腸癌にて手術。人工肛門となる。術後抗癌剤等化学療法なし。その後支障なく生活してきた。平成23年5月セプト4検査では陰性という結果。

直腸癌手術1年後の大腸内視鏡検査では、異常なしという結果。胃の内視鏡も同時期に施行し、異常なしとのこと。神奈川県出身・在住でピロリ菌感染陽性だったが、平成25年にはすでに除菌済み。

精査により、8年前の手術部位後部骨盤・仙骨から広範囲の腫瘍巣を認める。内部が年輪様の充実塊。12月より抗癌剤による化学療法開始、同時にカイジ20g+冬虫夏草3g/日の服用を開始。ただし、抗癌剤の副作用(吐き気、めまい)が強く、カイジによる副作用緩和は認められない。また、カイジ服用も大変困難があり(まずい)、1日10〜20gがやっとで3ヶ月目には断念。食欲減退のため、体重減少が顕著であった。

ただし、この6ヶ月にて腫瘍塊(左下図)は1/64に体積を減じ、腫瘍マーカーCEAも10.0から正常範囲内に減少した。癌の仙骨への侵襲による骨破壊が治療後、骨再生ならびに癌の退縮が認められた(右下図)。体調改善が認められ、釣りなどに出かける体力が回復した。

131115&140508-LungR1-NK-高300

131115&140508-Scarum-高300

 

 

 

 

 

この療法では、抗癌剤投与から平均余命18ヶ月と報告されているが、現在20ヶ月目で、放射線療法(腰部)30回を開始した。抗癌剤は、副作用が強度であることと、耐性出現と考えられるため、中止。カイジは、最初の3ヶ月のみで、以降服用困難にて中断。

総括:大腸癌においては、術後再発例は90%以上2年以内と成書にあるが、高齢化社会となり、2年、5年どころか、10年単位でフォローアップが必要と考えられる典型例。また、原発の大腸癌に対する治療に、考慮すべき余地が多々あったこと、初期治療時の対処の重要性を強調する例でもある。