さて、前のブログ「槐耳(カイジ)療法の用い方」の続きです。
どうしても槐耳(カイジ)だけではコントロールできない肺病変(転移巣)があり、少量の抗癌剤(DNA合成阻害剤)を用いて、槐耳効果の増進を図りました。結果は惨敗、副作用だけ激甚に出現して、目的とする転移巣にはなんら効果ありませんでした。末期と言われて2年になります。その間、頭髪の増量、育毛はもちろん、コロナ禍によるストレス以外、体調は良好で全く問題ありませんでした。
私もうかつだったのですが、この患者さんは原病巣が直腸癌で、無事外科摘出が終わり、しかも、摘出した癌組織の遺伝子解析により、この患者さんには主たる癌遺伝子、がん抑制遺伝子系列すべてに遺伝子変異があり、使用できる従来型の抗がん剤には適応がありませんでした。
少量の抗がん剤を使用してみる、と提案したとき、この解析について詳細協議しなかった私にも落ち度があります。結果として、全く適応のない、DNA合成阻害剤を用いて、DNA修復に関わる重要遺伝子全部に変異が入っていたのに、調べればわかることだったのに、全く適応のない薬剤を用いていたことが判明しました。副作用の話を主治医からうかがって、即、投与を中止し、槐耳のみに戻して、抗癌剤による副作用は完治しています。この失敗については、自戒の意味も含め、論文に正直に記載してあります。
Tanaka T, Tanaka M, Zhu, X., Teng F, Lin H, et al. Hair growth and restoration by transcriptional control of tissue regeneration in cancer recovery process by Huaier. Journal of Cancer Science and Clinical Therapeutics, in press. ISSN: 2637-5079
The preprint DOI is: 10.21203/rs.3.rs-1814029/v1
この患者さんにおいては、術後用いた抗がん剤の効果により、癌ステムセル(幹細胞)というものが生成され、育成され、殺すことも、除去することも不可能なこの異常再生システムが転移や再発の元となっていることが推測されます。
槐耳療法の開始時期に依存しており、抗がん剤を用いた患者様でも、ほぼ同時、あるいは、抗がん剤に先立って槐耳療法を開始した患者さんにはこのような不幸な経過は認められません。
しかし、今、困っている患者さんに、昔の話を蒸し返しても仕方ないので、現在、強力な槐耳療法、冬虫夏草における肝臓レベルでの抗がん剤解毒療法を併用しながら、癌ステムセル(幹細胞)対策に供与できる併用療法を模索中です。
幸い、中国から多数の薬用植物、その成分の供与申し出があり、ただし、安全性の確認、日本国内での使用、その他、必要な情報と方法を探査中です。槐耳は、まず全く人体に毒性のないこと、副作用がないことの確認が終了しており、日本での販売も開始されたあとだったので、話が早かったのですが、これからの新規物質については、まずそこからですから、時間がかかるでしょう。早くコロナ禍が終息して、まともに人材・物流・情報の交換ができる日が来ることを祈っています。