癌患者に低糖質食?検証その1

「癌細胞はブドウ糖を栄養にして増殖するので、糖質を食事で摂らないように」という指導または指導書、週刊誌での特集記事などがありますが、弊社としては否!と考えております

では、なぜ糖質を摂らないようにという指導がまかり通っているのでしょうか?

まず、考えられるのは、癌検診や癌患者治療後の転移有無の検査のPET(Positron Emission Tomography, 陽電子断層撮影)で用いられている放射性FDG18F-フルオロデオキシグルコース、グルコースはブドウ糖の英語名)が探査子として使われているからでしょう。この原理はワールグルグ効果に基づくもので、ドイツの医師・生理学者のProf. Dr. Otto Heinrich Warburg(1883-1970)が、正常細胞が低酸素(嫌気)状態になると、細胞内呼吸が障害され、正常酸素濃度環境(好気)に戻っても、ほとんどの細胞が死ぬか変性するが、ごく一部が好気性代謝に代わる嫌気性代謝を亢進させ、癌細胞になる、という仮説を発表したことによります。癌細胞内では、好気下でも解糖系代謝(嫌気性代謝)でブドウ糖が使われる。これが、ブドウ糖が癌細胞の代謝に大いに使われるので、その元のブドウ糖を絶てば、癌細胞が死ぬので、癌患者は助かるという論理を、癌患者は糖質を摂らないようにという指導に結びつけている訳です。

ですが、ちょっと考えれば分かることですが、癌患者の体は癌細胞のみから成り立っているわけではありません。癌細胞は体のほんのごくわずかであり、ほとんどの体の細胞を正常に機能させるための栄養が必要です。正常細胞も、御飯など(炭水化物)の最終消化産物の糖質、ブドウ糖などを必要としており、それが枯渇すれば、低栄養になり、癌でひとが死ぬのではなく、低栄養で体の機能障害が起こり、死ぬことになります。以前、日本では癌患者の栄養学についての専門家は見あたらず、その専門書も見つからないと申しましたが、それでも藤田保健衛生大学の東口教授は「「がん」では死なない「がん患者」栄養障害が寿命を縮める」というように、日本の癌の専門医といえども癌患者の栄養学についての知識はないに等しいと言って良く、上記のような「低糖質食」でその代わりにその他の栄養の脂肪や蛋白質の代謝産物の「ケトン食」を食べて、癌を治しましょうというおかしな論理に基づく書籍がまかり通るようなことになるわけです。

どうか癌患者さんは、特に十分な糖質を含めた蛋白質や脂肪、ビタミン、ミネラル、食物繊維が含まれたバランスの取れた食事をむしろ健常状態より多めに食べて下さい。そして、癌が進行された方や抗癌剤で食欲が低下している方は、一般的な朝昼晩の三食といわず四食、五食とこまめに食事をしたり、おやつや果物を間に摂ったりして、栄養を大いに摂られることをお薦めいたします。

最後に追加させてもらえば、炭水化物の最終産物、単糖にはブドウ糖のみならず、果糖やガラクトースなどがあります。ちなみに単糖のマンノースは「癌の増殖を抑制し、化学療法の効果を増強させる」という論文もあります。

さらに北京大学医学部研究班による槐耳(カイジ)の分解後の単糖分析によると、他の食品では微量にしか含まれないマンノースが図のように多く含有されていることが判明している。

カイジ顆粒9単体研究1-単体1 *岩藻糖:フコース、阿拉伯糖:アラビノース、半乳糖:ガラクトース、葡萄糖:グルコース、木糖:キシリトース、甘露糖:マンノース

「癌患者に低糖質食?検証」については、次回以降も述べさせていただきます。