槐耳補完療法による顕著な癌治療効果の改善に鑑み、相次ぐ臨床治験で癌治療スタンダードに新しい潮流
槐耳(カイジ)Huaier (学名Trametes robiniophila murr、中国抗癌剤登録番号Z-20000109)は、特に癌への臨床有用性が多々報告され、進行癌末期に至る全てのステージに顕著な治療促進効果を示す。本年、日本においても進行癌に対する槐耳効果の臨床研究が開始されたが(日医治促ID:JMA-IIA00335)、中国では肝臓癌患者への初の大規模槐耳効果臨床治験(39医療機関を統合)が8年をかけて完遂、槐耳投与群686名(対照群316名)、外科的病巣切除後の槐耳投与1日20g(分3)96週間、の結果を公表した(表1)。
B型肝炎罹患率が75%平均と高く、これは同時進行でインターフェロンαにより治療している。再発・転移の判定は、日本における精査用検査と同等であるが、96週間の観察期間中、95%以上の高い手術成功率、加えて抗癌剤(分子標的医薬)を一切用いていない、という点が注目される。この成功に基づき、引き続き、中国で乳癌300例に槐耳臨床治験を実行中である。
このような槐耳効果は、特に65歳以下の発症で肝炎罹患していないグループで顕著であった。日本においては術前投与により、一層促進されることは既に報告済みである1),3)。診断直後より槐耳1日20g投与(服用方法は自由)、術前4週間前からの投与にて手術時の病巣封じ込め、ひいては手術時間・出血量の顕著な減少、さらに術後の抗癌剤不要例を何例も経験している(乳癌、大腸癌)3)。
先週は、乳癌における抗癌剤・分子標的医薬の効果の統計が発表され、今後、特に早期癌に対しては、抗癌剤を用いず、手術と術後ホルモン療法併用の新しいスタンダードの発表が為された(BBCニュースのアクセスランキング一位)。槐耳Huaierの癌治療補助としての有用性は多くの報告にて明らかであるが、その特徴は多くの多糖類混合による自然抽出物質として、分子基盤が癌細胞ターゲッティングとは異なることにある。つまり、
1)細胞内刺激伝達系の正常化、
2)近接細胞を動員した組織修復能、
3)癌ステムセルの正常化促進、結果としての異常細胞の死滅・除去、
である3。今後、患者の快復促進に対し、抗癌剤、放射線療法等の補助療法に耐性、あるいは適応がない症例に対しては特に、槐耳補完療法の有用性を強調したい。
参考文献
- 田中真奈実.癌治療近未来 創薬のひろば、2017: 7, 41-43.
- Chen, Q., et al. Effect of Huaier granule on recurrence after curative resection of HCC: a multicenter, randamised clinical trial. GUT 2018: electric publication by bmi.com. from 25 May 2018. (doi: 10.1136/gutjnl-2018-315983).
- Tanaka, T., et al. Huaier regulates call fate by the rescue of disrupted transcription control in the Hippo signaling pathway. Archives of Clinical and Biomedical Research. 2017:1(4) 179-199.