カイジが癌に著効、研究論文に

2017年10月20日の弊社ホームページのブログに紹介いたしました瀋陽(旧・奉天)にある中国医科大学付属盛京医院(中国語の医院は病院のことです)介入科の刘(劉)兆玉教授

2-劉兆王教授in演壇'

の発表内容の論文が掲載されましたので、お伝えします。タイトルは、

「基于真实世界肝动脉化疗栓塞术联合槐耳颗粒治疗肝细胞癌的临床研究

Real world evidence based clinical research on management of hepatocellular carcinoma treated with TACE combined with Huaier Granules.

カイジ顆粒と組み合わせた肝動脈化学塞栓術で治療した肝細胞癌の管理における実地調査に基づく臨床研究」です。

槐耳&肝細胞癌論文

英文抄録を翻訳いたしますと、

【要旨】

目的:肝細胞癌管理における肝動脈化学塞栓術併用カイジ顆粒の有効性と安全性を評価し、予後に関連する関連因子を評価すること。

方法:本研究では、実際の前向き研究を実施した。 20149月から201612月までの間に、肝細胞癌と診断された合計751人の患者が登録された。実験群の患者をカイジ顆粒と組み合わせた肝動脈化学塞栓術に対し、対照群の患者は肝動脈化学塞栓術のみであった。主な観察指数には、無増悪生存期間(PFS)およびカイジ顆粒による有害反応が含みました。

結果:20176月までに6,778人の患者が評価対象となり、全体的な追跡期間は282であった。実験群の330の患者の無増悪生存期間中央値は381であったが、対照群の348の患者の無増悪生存期間中央値は237であった。 Kaplan – Meier分析を用いて、2つの群の間の差は統計的に有意であった(P = 0.0003)。実験群でのCOX回帰分析は、肝動脈化学塞栓術後の腫瘍進行の独立した予測因子は、門脈静脈腫瘍血栓の有無にかかわらず、Child-Pughグレード(肝障害度分類の一つ)であることが示された。経過観察中、カイジ顆粒を使用した31人の患者において、主に悪心および嘔吐を含む様々な副作用が生じた。すべての有害作用は、特別な処置なしに自然に軽減された

結論:カイジ顆粒と組み合わせた肝動脈化学塞栓術は、肝細胞癌の管理において効果的かつ安全であり、臨床的推進に値する。

 ここで解説いたしますと、

  1. さすが中国で、非常に人口が多く、かつ中国滞在中に聞いた話では大きな病院に患者さんが集中する傾向があるため、評価対象者が7千人弱、実際の研究対象者がカイジ服用者と未服用者(対照群)で7百人弱と、日本ではこれだけのデータを集めるには、日本全体とはいいませんが、かなりの病院がグループを作らないとこのような大規模のデータは作らないと考えられます。
  2. その意味で、この研究結果は対象数が多いため、結果は信頼がおけると考えられます。
  3. そこで、統計学的解析結果ですが、P=0.0003というのは非常に良い結果です。統計学的には有意差あり、と表現しますが、あまり著しい効果がないような場合は統計ではP=0.05より小さければ、それでも効果ありとします。そしてかなり効果があると判定するにはP=0.01より小さいことが求められます。その意味でさらに3/10の危険率のP=0.003というのは、間違いなくカイジが治療効果が大いに認められることを示しております。その解析の元となった「実験群の330の患者の無増悪生存期間中央値は381であったが、対照群の348の患者の無増悪生存期間中央値は237であった。」と、つまり癌の進行が止まり、生きながらえた期間の中央値(平均値は生存率の評価では使いません)が144日、4.8ヶ月も延命したというのは、すばらしい結果と見ていいと思います。一般の抗癌剤では1月から2月延びればいい方で、それでも癌ではなく抗癌剤の副作用に悩まされての延長であり、苦しんで長生きさせられるという矛盾した医療となります。
  4. なお、ここではカイジを使用した患者さん330名中31名(10.3%)に「悪心および嘔吐を含む様々な副作用が生じた。すべての有害作用は、特別な処置なしに自然に軽減された。」と正直にデータを提示されております。一般の方々はこの数字を高いものと感じられるかと思いますが、実は日本で行われている標準治療の抗癌剤や分子標的医薬の中には、「悪心および嘔吐」は軽い副作用と考えられ、より重篤な転帰に結びつく「骨髄抑制(貧血・白血球減少)、腎障害、肝障害、易感染症、糖尿病、間質性肺炎、神経障害」などをより高率または100%近く起こすことが知れられています。カイジの場合、このような軽度の副作用が起こることを提示しておりますが、逆にカイジは抗癌剤を投与されている患者さんにはその副作用を軽減することが知られております(星野惠津夫 元がん研有明病院 漢方サポート科部長 著「症例から学ぶ がんの漢方サポート)。

 最後に、当研究所では、毒性・副作用の強い癌治療に対する補完療法確立の一環として、今般、カイジPST: Polysaccharide-Trametes robiniophila murr)効能の分子基盤解明の臨床研究を行っております。これに当たり、がんの診断を受け、これから治療される患者様で、補完療法に興味を持つ患者ボランティア様を広く募集しております。

 内容をご覧になり、参加ご希望の方、興味ある方はご自由に弊社までご連絡ください。左のアンダーライン部分をクリックされると、自動的に問い合わせのホームページが開きます。