カテコールアミン分泌腫瘍、カテコールアミンは高血圧の原因となるので、高血圧が国民病である日本では、比較的良く研究されてきた。しかし、発症頻度が低く、10万人に0.15人(最近10年の統計)であるため、比較検討の症例が足りず、研究にも限界がある。全症例において、悪性10%、悪性のうち遺伝性が疑われるもの5%。他の先天性疾患、遺伝子病に比較しても有意に低いため、遺伝子疾患と特定することは無理がある。
遺伝性を論じる検体があまりにも少ないため、有意な特異的関連遺伝子は発見されていない。散見する報告では、患者ごとにデータが異なるため、一定の議論ができていない。逆に、どの癌においても発動する促進因子については、対策として利用できると考えるのが至当であろう(カイジ効果参照)。
外科的除去技術の進展が著しい。術式は、原発巣、合併症、進行度合(カテコールアミン分泌の状態)の確認後に決定、単発巣で他に病巣なく、高血圧コントロールが順調である場合、すみやかに外科的除去ができる。術後は、カテコールアミン分泌などの変化をモニターしつつ、観察していく。
今回ご相談に与った現症については、単発巣で他に合併症もないことから、すみやかに外科除去を行い、そのために体調を整えることが重要である。術後快復を促し、すみやかな快復を目指した。しかし、この症例は、カイジ服用が意図した症状緩和にはあまり寄与せず、ただし、病巣内の線維化(腫瘍組織封じ込め)と内部の壊死を誘発、さらに脈管浸潤の防止に貢献したと考えている。なお、肝要なのは再発予防であり、カイジ服用の1年間継続を予定している。