早期大腸癌:セプト4検査陽性

大腸癌:61歳 女性

主訴:セプト4検査陽性、その後の大腸内視鏡検査にて大腸癌発見

家族歴:両親はすでに死亡。次姉:大腸癌にて死亡。

既往歴:57歳 卵巣嚢腫、腹腔鏡下手術にて除去

60歳 腰痛症にて経過観察中

現病歴:平成23年12月10日、セプト4血液検査にて陽性と判定されため、平成24年2月近医にて大腸内視鏡検査施行、S状結腸部に異常が認められ、病理学検査により腺癌細胞 (type 5)という結果を得た。3月22日東京近郊の大学付属病院消化器外科教授による内視鏡写真精査の結果、内視鏡下手術の適応を指摘され、同消化器内科准教授を紹介の上、入院加療(大腸内視鏡的粘膜切除術 (ESD))となる。5月、治癒判定(セプチン4検査および大腸内視鏡精査)により、完全治癒と判定され、その後日常生活に全く支障なく過ごしてきた。

義母の介護および長女の伴侶の長期入院治療などのストレスあり、1年後の平成24年4月の血中セプチン4モニター検査にて再陽性を見、フォローアップもあり大腸内視鏡施行、癌除去後の組織回復は問題なかったが、近傍に新しく出来たポリープ(1〜2mm径)を除去した。その後、ピロリ菌除菌、呼気判定により確認済。

その後は、セプチン4検査にてモニター中、問題なし。

大腸癌マーカー・セプト4検査陽性結果に基づき、近医にて大腸内視鏡検査施行、1.5cm径の癌病変を指摘された。幸いなことに、まだ深部に至らず、大腸内視鏡下手術にて除去。家系的に大腸癌が頻発し、新潟県という出身・居住地からも推測できるようにピロリ菌感染陽性、萎縮性胃炎あり。大腸癌に引き続き、ピロリ菌除去も行った。

総括:発見時から除去に至る4週間で、癌病変は1.5cm径から2.5cm径に拡大、新生血管増生を確認した。生体内環境における癌組織内新生血管増生と病変拡大の実際を示す貴重な情報を得た(写真)。すなわち、この時点を過ぎた場合、治療方法も、患者の予後も、従って日常のQOL(生活の質)も激変していたという症例である。なお、手術当時は大腸内視鏡的粘膜切除術 (ESD) は保険適応されていなかったため、ESDでの手術に30万ほどかかるとの説明にもかかわらず、家族は腹腔鏡下手術ではなくESDを選択した。それゆえ、外見上は全く手術痕はないため、患者本人も周囲の人達も大腸癌手術を受けたことに対する認識が少なく、患者のQOLは非常によかった。なお、その1ヶ月後、大腸のESDも胃同様に保険適応となっている。家系的に、大腸癌死亡が同年齢の親族に頻発しており、40代の長女もセプチン4陽性化、内視鏡にて対処済みである。

120215-159-TT-内視鏡写真-300高

 2月15日内視鏡検査&生検

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 3月22日内視鏡的粘膜下剥離術 (ESD)

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 摘出大腸癌組織