XX. 慢性顆粒球性白血病の細胞因子に対する金克カイジの影響
邱仲川 陳珮 胡琦(上海漢方医薬大学曙光付属病院、上海 200021)
「中国腫瘍」中国腫瘍.2000年,9巻(12期):577–578
抄録[目的]1慢性顆粒球性白血病(慢性期)に対する金克カイジ散剤(顆粒剤)の治療効果を観察し、細胞因子レベルの変化意義を検討する。[方法]30例慢性慢性顆粒球性白血病の患者を選び、金克カイジ散剤(顆粒剤)で治療し、患者の臨床治療効果、細胞因子レベルを観察する。治療群完全緩解率が36.67%、部分緩解率が43.33%、総有効率が80%であった。治療群の細胞因子レベルのインターロイキン2、可溶性インターロイキン2、腫瘍壊死因子α、インターフェロンγが治療前後にいずれも明らかな有意差があったが、治療後と正常対照群と比べて明らかな有意差はなかった(p>0.05)。結論慢性期の慢性顆粒球性白血病対する金克散剤(顆粒剤)の治療効果が確実にあり、その作用メカニズムは細胞因子レベルを改善することと関与する可能性がある。
キーワード、金克カイジ散剤(顆粒剤)、慢性顆粒球性白血病、細胞因子
慢性顆粒球性白血病(CML)は造血幹細胞遺伝子の突然変異によるクローン性疾病で、病因はまた不明である。現在、腫瘍発生と発展の原因は適切な細胞因子環境の不足に関与する可能性があると考えられている。本文では、金克(カイジ顆粒)散剤(顆粒剤)でCML慢性期を治療する臨床治療効果を観察し、細胞因子レベルに対する影響を検討する。
1対象と方法
本文の30例CML患者はいずれも曙光病院血液科の外来及び入院病例で、1989年第二回全国白血病治療検討会で制定されたCML診断基準ステージに準じ、治療前にいずれも慢性期であることを確認された。その中に男性が19例、女性が11例;年齢が24歳~67歳、平均年齢が42.6歳;病気経過が2ヶ月から11年まで、平均3.7年。正常者20例を対照群とする。治療群と対照群は治療前に性別、年齢などの一般情況が明らかな有意差が認められなく、両群は可比較性がある。
治療群は金克カイジ散剤(顆粒剤)を使い、毎回1パック(20g)、1日3回、食後投与する。8週間連続投与し、一つ治療のコースとする。治療期間に治療に関係のあるいかなる化学薬物或は血液製品を使っていない。
全治療群の患者に以下の検査を行い、:臨床症状と体調;血液ルーチン検査、骨髄像;細胞因子レベル(IL–2、SIL–2R、TNF–α、IFN–α)はELISA法で検査、治療の前後にそれぞれ一回測定する。正常者の細胞因子レベル測定値は正常対照群とする。全体の治療効果は1978年全国白血病予防治療協力会議の基準に準じ、完全緩解(CR)、部分緩解(PR)、未緩解(NR)の3級に分ける。
資料の異なる性質によって、t検査、χ2検査、Ridit分析など検査方法を分ける。結果データはX±SDで表す。
2結果
金克カイジ散剤(顆粒剤)は群の全体の治療治療効果:CR11例の(36.PR13例の(43.NR6例の(20%)、効率(CR+PR)の80%がある。
金克カイジ散剤(顆粒剤)で8週間治療し、30例のCML慢性期患者のIL–2、SIL–2–R、TNFα、IFN–α数値は治療前に比べて明らかな有意差が認められた(p<0.05)、表1をご参考。(表1省略)
30例のCML慢性期患者では治療前にIL-2、TNF-a、IFN-γが正常対照群より明らか低く、SIL-2Rが正常対照群よりはるかに高く、検定で明らかな有意差が認められた(P<0.05);金克カイジ散剤(顆粒剤)で治療した後にIL-2、TNF-a、IFN-γレベルは明らかに高くなって、SIL-2Rレベルは明らかに下がって、正常対照群を比較して明らかな有意差が認められた(p>0.05)。(表2省略)。
3考察
CMLは骨髄悪性増殖性疾病で、現在、異なる遺伝子の骨髄或は乾細胞移植以外に、まだ根治する方法がない。インターフェロンの使用はCML患者の生存期を延長され、少数患者のBCR-ABL融合遺伝子を陰転できることを実証された。しかし外源性細胞因子が無活性化しやすく、しかも治療費用は非常に高価で、また避けられない毒副反応がある。ここ数年、薬物よる内因性細胞因子の誘発に関する研究は重視されている。CMLは伝統医学に主要な病気によってそれぞれ”症積”、”血症”、”虚働”など範囲に属する。慢性期は大部分が肝熱うつ症に傾く。金克(カイジ顆粒)散剤(顆粒剤)はカイジ菌質から製造された顆粒剤で、主要な活性成分は多糖蛋白(PS–T)で、”治風”、”破血”、”益力”の効果があり、悪性腫瘍治療に良好な治療効果を得て、漢方医の扶正活血、抗腫瘍治療の総則を一致する。体外実験では、金克散剤(顆粒剤)が明らかにα、γインターフェロンを誘発し、刺激されてIL–2リンパ因子を産生し、インターフェロンとIL–2の抗腫瘍特性を備え、同時リンパ因子を活性化でき、T細胞、NK細胞、顆粒球、単核細胞の細胞毒活の産生を増強する(例えば、腫瘍壊死因子などα–インターフェロンの協力で抗腫瘍作用に中心的な役割を果たす)、ですから、血液系統の腫瘍治療効果に対して最もよいもので、同時に金克散剤(顆粒剤)が能動的な免疫の形式で抗腫瘍作用を発揮すると考えられている。
本文では、金克散剤(顆粒剤)が内因性免疫補助因子IL–2、TNF–α、IFN–γを誘発し、免疫抑制因子SIL–2Rの作用を低下させることを実証した。特にSIL–2Rが一つ免疫抑制物質として、そのレベルはIL–2の生物学機能の発揮を影響し、治療によって緩解された後にレベルは明らかに下がって、内因性SIL–2Rの分泌を抑制し、それによってIL–2の生物学効果を発揮するのは金克散剤(顆粒剤)でCMLを治療できるメカニズムの一つであることを示した。同時にSIL–2Rレベルを検査することによって、CMLの補助診断、臨床ステージ、臨床指導、予後転帰などにも比較的高い実用価値があることを示した。
本文の観察結果では、金克散剤(顆粒剤)はCML慢性期患者の免疫補助因子IL–2、TNF–α、IFN–γを高め、免疫抑制因子SIL–2R作用を抑えることにより、体の腫瘍免疫反応を促進し、金克散剤(顆粒剤)が治療作用を発揮するメカニズムの一つである可能性があり、いっそう深く研究する必要がある。